長年パソコンを使っていると、マイクロソフトのソフト開発の迷走ぶりを何度も目にすることがあります。
その典型的なものが、ワードの「描画キャンバス」と「オブジェクトの選択」の機能です。
ワードには、挿入できるオブジェクトとして、
(1)オートシェイプ
(2)ワードアート
(3)写真やイラストのファイル
(4)クリップアート
(5)スマートアート
などが用意されています。
本来、ワードは文字を書くためのソフトですが、上記のようなオブジェクトをページ上に自由に配置できる機能も持っているのです。
これらのオブジェクトは、その種類に関係なく、「文字列の折り返し」設定で「前面」と設定すると、ページの上を自由に移動できるようになります。
この状態で、「オブジェクトの選択」の矢印で複数のオブジェクトを囲むことで、それらのオブジェクトをすべて選択できるようになります。
たくさんのオブジェクトを配置して、それをすべて選択した後、「グループ化」するという作業は、複雑な書類を作成するような場合は、必要な機能の一つです。
この機能は、ワード2003までは正常に機能していました。
しかし、この「オブジェクトの選択」の機能は、ワード2007とワード2010では正常に機能しなかったのです。
厳密に言えば、2007と2010では、「描画キャンバス」というものをまず挿入し、この中にオブジェクトを配置して、そこで「オブジェクトの選択」機能を使えば正常に動作したのですが、「描画キャンバス」の外では、この「オブジェクトの選択」機能が全く働かなくなっていたのです。
この問題は、ワードで画像を描く方にとっては、とても不便なものでした。
ところが、ワード2013になって、この「オブジェクトの選択」の機能が「描画キャンバス」の外でも正常に機能するようになったのです。
つまりワード2003の状態まで戻ったのです。
10年経って、元の機能に戻るというのも驚きですが、果たして一時の気の迷いだったのか、それとも大きな方向転換だったのかは、マイクロソフトに是非質問してみたいことです。